建築における断熱性の向上は、逆に換気能力の低下現象をおこす要因ともなってしまう。
これはもろ刃の剣のようなものと考えてもよい。
一方の能力、性能がが高まれば一方の性能が低下する。
このようなことは建築業界に限らず頻繁に起こりうる事象であり時代の変遷に伴って常に取り組み続けなくてはいけない課題であると言えるじゃろう。
住宅の建築資材の多くには、実際に化学物質が微量に含まれておる。
その為、機密性の高まった住宅には、
●シックハウス症候群
●アレルギー
などの症状を訴える人が倍増した為、
●2003年7月1日
より室内の空気を強制的に換気する24時間換気システムの設置義務化が定められた歴史があるのじゃ。
24時間換気システムを利用しておると、室内の空気循環が良く働くため、化学物質などによる汚染を最小限に食い止めることができる可能性がある。
しかし、換気システムが稼働しているが為に「室内が寒い!」と感じたことがある方も多いかもしれんのぉ。
特に冬場の浴室などでは一時的にスイッチを切ってしまいたくなるものじゃ。
しかし、前項でも解説した通り24時間換気システムは、常時強制的に換気を行うように義務化されたシステムである為、原則として換気システムを止めてはいけないことになっておる。
実際にスイッチにある「OFF」もしくは「切る」というボタンはあるものの、現実的にはスイッチを押しても24時間換気システムを止めることができなくなっておる。
但し、近年の多くの24時間換気システムのスイッチは風量を細かく設定できるようになっておる為、入浴前や入浴時などのみ風量を弱めるなどしても良いじゃろう。
尚、完全に止める場合の止め方は、「OFF」ボタンを3秒以上長押しするとシステムを止めることができるようになっておる。
24時間換気システムの種類にもよるが基本的に換気システムの停止方法は取扱説明書を確認するとしっかりと記載されておるはずじゃ。
関東大震災による福島原発の放射能汚染問題が大きな注目を集めた時に実際にスイッチをOFFにした経験をお持ちの方も多いことじゃろう。(放射能の流入については前項参照)
このような換気が好ましくない緊急状況の発生もある為、24時間換気システムの止め方はしっかり覚えておいた方が良いじゃろう。
【24時間換気システムの止め方】
※OFFボタンを3秒以上長押しする。但し原則としては24時間換気システムの稼働を止めてはいけない
春先からの花粉症の季節になるとアレルギー反応を発症してしまう場合は、花粉の住宅内への進入を給気ファンで空気を取り込む時点でシャットアウトすることが可能となってきておる。
これは花粉やミクロサイズの粉塵までもカットできる給気ファン用のフィルターの技術力が向上しておる為じゃ。
次項以降で解説しておる機械換気による吸気システムを用いておるのは第1種換気方式と第2種換気方式じゃが、花粉症など自分自身の体調やアレルギー反応なども考慮して換気システムを検討していくこともひとつの方法じゃ。
24時間換気システムの給気口、排気口に設置されておるフィルターの交換時期の目安についても確認しておくとしよう。
フィルター交換は、フィルターの汚れ具合によっても交換時期が異なり、各家庭の使用状況や生活環境によっても交換推奨時期が異なる為、一概にいつまでと断定することは難しいのが現状じゃ。
しかし、平均的に使用した場合の目安としては概ね3ヶ月に1回の点検、1年以内に1回はフィルターそのものを交換するように覚えておくと良いじゃろう。
3ヶ月に1回の点検時にはフィルターに付着した埃を掃除機等で吸引し目詰りがないかをチェック。
この時、汚れが強い場合は、中性洗剤を使用してやさしく洗ってあげるだけでフィルターを再利用することも可能じゃ。
尚、一度洗浄したフィルターはカビの発生を防止する上でもしっかりと日干しによる乾燥を行い水分を完全に除去した状態で設置する事が大切じゃ。
数回の洗浄を行うと小さなほころびや、場合によってはフィルターに穴が空くケースもある為、この段階でフィルター交換を行うようにすると良いじゃろう。
【フィルター交換時期の目安】
★1年に1回はフィルターそのものを交換
★3ヶ月に1回はフィルターの点検と掃除
★但し穴が開いている場合は1年以内でも交換する
1年以上に渡りフィルターの掃除やフィルター交換を行なわずにいるケースでも、実際に特に問題等が生じていない場合も多いかもしれん。
しかし、フィルターは換気システムの性能に大きく関与する部品であり、かつ消耗品でもある為、定期点検と掃除はやはり3ヶ月に1回程度、フィルター交換は1年に1回は行うように意識し、換気システムの性能を損なわないように配慮することも大切じゃ。